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執筆者の写真五十嵐 直樹

令和時代に夢のマイホームは成立するのか

昨日の見学会のブログ の最後に書こうとして、あ、コレ長くなるやつ!と思って途中でストップした事について書きます。(笑)


新築とはまた違って、改修工事は本当に毎回内容が違います。

元々の家の間取り、造りが違う訳ですし、都度求められる内容も違うからです。


予算をかけてでもまるっと全部やり直し!だったら話は早いのですが(笑)

現実はそうも行きません。


予算もありますし、あと何年その建物で暮らすのか。

その後は誰か受け継ぐ人がいるのかいないのか。

その辺りも加味した見極めも必要になってきます。


私が空き家の活動をしているのも、その為です。

この先10年20年あるいはそれ以上、先の事まである程度想定しておかないと、現状出来るるベターな判断なんてできないのではないか、と考えます。


今回の工事にしても、予算をかけず表面だけ改修をして断熱もしないで安く済ませるのか

更に予算をかけて耐震補強、屋根の吹き替え、外壁の張替えとフルリノベーションをするのか

実際は請け負う工務店側の判断で結構変わるものです。


当初、実はもっと予算を抑えたいという施主の希望がありました。

ですが、色々と組み立てていく中で、中途半端に改修工事をしても施主の思い描く温熱環境には至らないと判断し、予算を上げてもらいしっかりと断熱工事を施す事にしました。

外部に関しては目視での点検もできるので、何かあったらその都度直していきましょう、という方針も一致しました。


私が今回下した判断が正しかったのかは現時点では分かりませんが

・やるべき事はやる

・やらなくてもいい事はやらない

この線引きを知識と経験から導くのが、私の仕事と考えています。



ただし、今回の様に予算を追加してまで断熱をしっかりしましょう!が毎回正しい判断とは言えないとも考えています。


2022年に携わらせて頂いた望雲舎さん

こちら、長らく空き家だった築50年の古屋を購入し、1階をカフェ、2階を事務所に改装しました。

なるべく低予算で、我々は1階の内装工事と一部設備工事のみを担当


厨房内や2階は自身の手によるDIYで行う事で、建築コストを抑え、第二の人生のスタートを、リスクを抑えながら好きな事に没頭する空間として生まれ変わりました。


断熱や耐震補強はしない、住む家ではないからこそできる割り切りリフォーム。

これも空き家の利活用の一つだと思います。


その後、冬にはペレットストーブも導入していましたが、これは正解ですね。

断熱、気密性が低い建物でエアコンや灯油ストーブで暖房しようとすると、物質が暖まるまで時間がかかってエネルギーのロスが大きいです。


薪やペレットストーブなどは直火で直接熱を飛ばして物質を暖めるので、この建物には合っていると思います。

つまり、その建物の特性をしっかり理解して活用すれば、余計な費用をかけずに活用する事も可能です。


最初に現場に伺った時の状態。

The空き家、といった感じでございました…ま、キレイにしたらまだまだ使えるものですね。


何でもかんでもお金をかけて工事しましょう!なんていう同業者も少なくないかもしれませんし、利益だけ追求するならむしろその方が会社にとってプラスになります。


「どうせやるなら、全部一気にやった方が安くすみますよ」

って結構リフォーム業者が言いがちだと思いますし、実際その通りな部分もあります。


先日もちょうど知人から「他の会社で外壁と屋根の塗装見積してもらったんだけど、アドバイスお願いできますか?」という相談がありました。

実際にお伺いしてみると、痛んでいる所はあるものの、ほんの一部分でした。

他の外壁に関しては、私が見る限り今すぐ塗装をしなければどうにかなる、という程でもありません。


なので「直した方がいい部分だけ直して、他は保留。また痛んできたら部分的に直すか、全面的な改修まで点検しながら様子をみたらいかがですか?」とお伝えしました。


同業者から見ると「いやいやそれは言わないお約束でしょ」みたいな事も平気で言ってしまうので、リフォーム会社としてはある意味失格なのかもしれません(笑)


でも、私はその方が住んでる方にとってはいい、と思ったら、ちゃんと伝えます。

結局判断するのは施主ですが、無数にある選択肢の中で2つ3つくらいには選択肢を絞ってあげる。


まだまだ精度は完ぺきとは言えませんが、少なくとも先を見据えて真摯に考えることは続けて行きたい所存です。


私がざっくり捉える日本社会は

昭和→復興、発展

平成→絶頂、停滞(衰退も始まってた)

令和→縮小、ソフトランディング

という感じです。まぁ皆さんも大体同じように捉えていると思います。


昭和、平成初期のイケイケどんどん!な時代はとうに終わりを迎えているにも関わらず、その当時からの制度やシステムは継続しているのであちらこちらで問題が多発している。

発展、拡大の時代は良いんです。あんまり考えなくてもどうにかなりますから。

街の開発は進み、放っておいても地価はどんどん上がる。

多くの「土地」と「家」が資産になりえた時代です。

いや、言い方を変えると「住居」としての機能しかない家でも資産になった、が正しいと思います。人口は増えている訳ですから、供給よりも需要が勝っている状態です。


でも今は違います。利便性の低い立地は売りに出しても売れず、タダでも貰い手がいない。

家に関しても50坪70坪と無駄に大きい家は誰にも求められず、行く先は解体されるのみ。

「住居」としての機能しかない家には需要なんてありません。他にいくらでもある訳ですから。


全てがそうではありませんが、これまでメッキで隠されてた部分が剥がれ落ちて、格差がどんどん広がっています。


銀行が融資してくれるからと、安易に土地と家を購入するのは本当に危険だと思います。

買えば誰もが不動産を所有できますが、それがプラスになる資産なのかはたまたマイナスになる負債なのか。

夢のマイホームは、あくまでも夢なんです。早く現実に戻ってきてください。(笑)


現役世代である我々が直面している課題の大きな一つだと捉えています。

それを無視して、昭和や平成のような振る舞いを続ける訳にはいきません。

何故なら、これからを生きる子供達が社会に出た時に、より重くのしかかる事が明確だからです。


そんな未来で、のうのうと暮らして行けますか?

働いても働いても社会保険料は上がる一方。

現役世代の働き手が減り続け、代わりに高齢者は増える事が確定しています。いったい一人で何人の高齢者を支えればいいのでしょうか。


今だけ、今さえ良ければいい、をやめましょう。


何だか最後は住まいに関係ない話になりましたが、色んな問題が色んな所で絡み合って今の社会になっているので、仕方がないです。


簡単に答えの出る問題ではありませんが、一緒に考えて行動に移して行きたいと思っています。


次回は見学会にも相談に来られた方がいましたので、その話題にも触れながら改めて空き家について取り上げてみたいと思います!

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