新年あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
また、元日に発生しました能登半島地震により被災された方の一日も早い復興を心より願っております。
震源地に近い地域はもちろんですが、弊社の所在地である新潟市西区寺尾周辺地域も今回の地震の影響で局地的に甚大な被害が出ております。
いわゆる液状化現象と呼ばれており、地震の揺れによって砂地盤、特に水を多く含むような地盤が液状化してしまい、支持力を失った結果、地盤沈下や道路、建物などの沈下を引き起こした地域が多く存在します。
被災された方に今後注意して頂きたい事をまとめてみましたので、是非多くの方へ知って頂き、一日も早い確実な復興を目指して頂ければと思っております。
①震災に紛れて詐欺、手抜き工事を行う悪徳業者が存在します。
震災直後、被災地周辺ではどうしても修理依頼が地元の業者へ殺到してしまい、お待たせする事が多々あります。また、業者や職人自体が被災してしまった、というケースも少なくありません。圧倒的に数が足りなくなるんです。
特に上下水道、電気、ガスなどライフラインは生活に関わる事なので、一日でも早く修理、復旧したい気持ちは痛いほどよく分かります。
そんな時にタイミングよく訪問してきて「私が直しますよ」という業者がもし居たら、すぐにでもお願いしたくなる方は多いと思います。
ですが、ここで一旦冷静になって下さい。
まずはその方の名刺をもらう、会社名を聞くなどして、一度その方や会社の素性をはっきりと把握して下さい。インターネット検索するだけでもある程度は情報が出ると思います。
それらを拒んだりはぐらかしている場合は、悪徳業者の可能性が非常に高いです。何なら弊社に問い合わせて貰えば、こちらでもある程度は調べることは可能です。
現に、昨年も「近くで足場をかけて工事していて見えたのですが、屋根が壊れていますよ。登って点検しましょうか?」と訪問して回っていた業者も多く耳にしました。同じ内容で実際にお客様から数件問い合わせがありましたし、相談を受けてから弊社が伺って実際に屋根を点検しましたが何ともなかった、という事が続いたので間違いありません。
もしその業者に点検をお願いしてしまったら、屋根の上に上がってから瓦を割ったり、などの手口で必要のない工事を作り上げて受注するそうです。
非常に残念で腹立たしい事ですが、そのような業者も存在するという事を念頭に置いておいて下さい。
もちろん、中には迅速に復興のお役に立ちたいと思っている善良な方もいらっしゃるかもしれません。とにかく、大変な時だからこそ落ち着いて冷静に判断するよう心がけましょう。
②地盤沈下した建物の沈下修正工事は、安くても200万円以上はかかります。
震災後から数日、新潟市西区を見て回りましたが、液状化現象により沈下修正が必要な建物はかなりの数になると予測しています。
もちろん全て条件が違いますから、まずは現状の把握と調査が必須です。その上でどのように修正したら良いのか、検討を始めます。
昨年のブログにも書きましたが、全国各地で沈下修正工事や家起こし工事を手がけている曳家岡本さんと交流させて頂き、岡本さんの知識や経験を得る機会がありました。
それまでは私自身も建築業界に十数年携わっていたものの、こと地盤の事や沈下修正の事は全くと言っていいほど知らなかったと痛感しました。
1月4日現在、私も所属している主に新潟の住宅産業に携わる方が多く集う「住学」というコミュニティーの中で「液状化現象対策、共有、お悩み相談所」という非公開のFacebookグループを立ち上げ、この度の震災での被害状況や地盤、沈下修正に対する確実な情報や知識を共有し始めました。
逆を言えば、そのくらいこの分野が一般的でない、という事にもなります。建築のプロ、建築士を取得したからといって、全員が地盤や沈下修正に詳しいとは限りません。
むしろ、非常に数は少ないと思われます。
だからこそ、同業者同士で集まり情報を共有し、少しでも多くの方の復興をお手伝いするべく活動しています。
その中で岡本さんから、上記の「(内容や規模に関わるけど)どんなに安くても200万円はかかる。それでも手抜き工事もあったりする。目に見えない場所だからこそ、その工事内容の良し悪しは判断しづらいので要注意です」と警笛を鳴らして頂きました。
敷地の条件や工法、規模によっては1000万円〜2000万円という額の工事になる事も有り得ますから、ある程度は覚悟の上で依頼して下さい。
この事を念頭に置いて頂ければ、例えば自邸の沈下修正をどこかの業者に依頼した時に「あれ、これはちょっと安すぎない?」という物差しにして頂ければと思います。
逆に大した沈下でもないのに1000万円かかる、という場合には高すぎない?というストッパーとして働いてくれるでしょう。
もちろん部分的な修正であればもっと安い場合もあり得ますが、一つの目安として覚えていて損はないと思います。
少しでも安く工事をしたい気持ちも分かります。ですが、安かろう悪かろうで直した場所は、数年経たずとも必ずまた不具合を起こす事に繋がります。
一番は地盤や沈下修正に精通した方に相談をする事。その方が詳しければ、工事業者の提示した内容が適切かどうか判断できます。
岡本さんも所属されている一般社団法人 建物沈下修正業者連合会という会に所属されている会社は、少なくとも手抜き工事をしないので安心してご相談頂けると教えて頂きました。
実際に沈下でお困りの方は、連絡してみて下さい。
ホームページはこちら⇨https://kenchinren.or.jp/
また、これは知り合いからの情報ですが、今日時点で新潟市の罹災証明書発行の為の申請件数が1000件を超えているそうで、現地を調査する方の日程が全く分からない、という状況だそうです。
行政経由の正式な調査ではありませんが、家が傾いていないか心配だったり、敷地内が沈下してどうしていいか分からない方は弊社へご相談いただければ建築士の有資格者である私、五十嵐が伺ってレーザー器やデジタル水平器などを用いて調査する事も可能です。
また、行政に関わらず民間の我々にも多数依頼は重なるため、どうしてもお待たせしてしまう事もあります。
そんな時は上記の同業者コミュニティー住学内から別の建築士や有識者を派遣する事も可能かと考えております。
民間の我々ですとどうしても有償になってしまいますが、可能な限り対応させて頂きます。
正直、これまで他地域で起こった地盤沈下や液状化現象などのニュースでは自分ごととして捉えていませんでした。
だからこそ、この度の震災ではすぐ間近で被災を目の当たりにし、建築事業者として大きな無力感や建築にできる事の限界などを感じています。
一人ではきっと打ちのめされていたかもしれません。少なくとも、2年前の自分ではどうすることも出来なかったと思います。
でも今は違います。多くの良識ある仲間に巡り合い、時には同業者としてライバル関係にもなりますが、有事の際には本当にコミュニティーがあってよかったな、と心から感謝しています。
大変な日々が続きますが、共に乗り越えましょう!
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