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執筆者の写真五十嵐 直樹

完成見学会+空き家相談

先日開催した大野町の長屋リノベーションの完成見学会では、初の試みでしたが近隣の方向けに空き家の相談も承っていました。

300部ほど見学会のチラシを配ったのですが、その時に全国古民家再生協会の発行している情報誌「じゃぱとら」と、案内文を一枚同封してみました。


完成見学会と空き家相談会を同時開催、という感じです。

こちらが毎月発行されている「じゃぱとら」です。結構読みごたえがあります。

希望者には無料で配布しておりますので、もし気になる方がいらっしゃればご連絡下さいませ。


何故そのような形で開催したかというと、そもそも大野町という地域が歴史ある商店街の街で、パッと見る限りでもいわゆるシャッター街だったり、空き家、空き店舗が沢山あるなぁという印象だったからです。

一言で言うと、空き家で困っている人は結構いるのでは?と考えました。


結果的に、近隣の方がチラシを見てわざわざHPから予約もして頂き、会場に来て頂きました。

お話を伺うと、数年前にすぐ近くに新築で家を建てて移住してきたとの事。私と同じ40代くらいで、ご主人がお一人で来られました。

その方の自宅の両隣と向かいが空き家という状況で、ボロボロだけど解体もされず、管理も行き届いていないので草や虫、小動物(タヌキなど)が出入りして困っているんです、と。


私、空き家の相談に来られる方って空き家を所有している人だ、と何となく勝手に思い込んでいましたが、ちょっと考えれば実は「空き家の近隣に住む人」が一番困ってるんだな、と改めて思い直しました。


空き家な訳ですから、当然所有している方はその家には居ません。

それなりに管理していれば問題は少ないですが、所有者の方が遠くに住んでいて放置していても、自分の生活には全く困らない訳です。困っているのは、空き家の近隣の方。


相談者の方は空き家の所有者と連絡が取れるそうですが、一方は何とかしたい意向はあるものの、思い入れもあるし何からしていいやら…

もう一方は、お金もかかるから解体はしない、と言われたそうです。


しばらくお話していると、たまたま相談者と知り合いの近所の女性お二人が見学に来られたので、そのお二人も交えて空き家談義。町内会を通して役所に働きかけ、改善できるのでは?と具体的なアドバイスが出てきました。


私としても「空き家を何とかしたいと思っている所有者」に対してはアドバイスが出来る事もあると思うので、もし必要ならまた連絡下さいね、とお伝えしました。


一連のやり取りの中で感じたのですが

・個人間での空き家問題解決はなかなか難しい

・結局多くの人が「役所(行政)」頼りになってしまっている

という事でした。


まさに空き家問題がなかなか解決しない要因の一つがここにあると思っていて

・結局は所有者の権限が強すぎて、所有者の意向が全て

・役所(行政)に相談してもせいぜい草刈りや消毒程度で、結局根本的な解決には向かわない

という事になります。


だからこそ「相談から問題解決まで取り組む、民間事業者の専門家チーム」が必要だと考えています。

それが私が新潟市内での立ち上げを目指している「全国空き家アドバイザー協議会の新潟支部」という事になります。

もちろんただ立ち上げればいいのではなく、しっかりと行政と連携協定を結び

相談者→行政に相談→協議会へ移行→課題解決

という流れを作りたいと考えています。


ちなみに、現在は行政に相談が行った後は不動産業界の方へ流れていくという事にはなっているみたいです。

でも、基本的に不動産の方は売買か賃貸か、で判断するので、それ以外は問題解決に向かわないとも聞いています。

売れたり貸したりできればそれで構わないと思っているのですが、それだと解決できないケースも多々あると思うので、その辺りは不動産業界とも連携して解決に向かえればと考えています。


そして今週、こんなニュースを目にしました。

以下、ヤフーニュースから転記します。

倒壊のおそれがある「危険な空き家」が全国で問題になっていますが、新潟市は所有者がいない空き家を解体する略式代執行を29日に初めて実施しました。

新潟市北区にある木造一部2階建ての空き家。天井の一部が落ち、屋根から落下した瓦が道路のすぐ横に散乱しています。 新潟市が「略式代執行の実施」を宣言。業者が取り壊しの作業にかかりました。

この空き家は持ち主が死亡した後、親族が相続を放棄し所有者がいない状態になりました。

新潟市は2月に倒壊などの危険がある「特定空家」に指定し、法律に基づき解体が決まりました。

■新潟市住環境政策課 渡辺正義課長

「管理が不全な物件だということで市のほうに相談があったのが平成29年という状況でございます。これ以上修繕ができない状況ということで今回やむを得ず最終手段ということで。」

約187万円の解体費用は、市と国で半分ずつ負担します。

新潟市は市内の「危険な空き家」26軒を「特定空家」に指定して、指導や注意喚起を行っていますが、11軒は状況の改善がみられていないということです。

■新潟市住環境政策課 渡辺正義課長

「市としても管理不全な状況になる前にお住まいの活用方法 売却をするのかだとか活用方法を早い段階から考えていただいてお住まいの引き継ぎ方を市民の皆様に考えていただくような啓発に努めたい」

2018年の推計では新潟市内には利用目的のない空き家が約18,600軒あるとされています。

市は条件付きで空き家の活用や解体などにかかる費用を補助しています。


さてこのニュースを見て、皆さんどう思われたでしょうか?

「何だ、最終的には行政が解体してくれるんじゃん」

と思われた方もいらっしゃると思います。これは所有者に代わって行政が行う【代執行】と呼ばれています。

条件はあるのですが、最終手段として行政が代執行を行います、というのは平成26年の「空き家等対策の推進に関する特別措置法」によって定められました。


代執行には【①行政代執行】と【②略式代執行】の2種類ありまして、通常所有者が特定できている場合は①の行政代執行になり、解体してからその費用は所有者の方へ支払いの義務が課せられます。


対する今回の②の略式代執行は、行政も所有者を特定できず、かつ倒壊する危険があると判断された場合に行われるのですが、この費用は行政が負担します。だって所有者いませんからね。


これを「ラッキーじゃん♪」で済ませてはいけません。なぜならその費用は市民税や国に納めている税金から支払われる訳ですから、いわば税金を支払っている私も貴方も、皆が関わってくる事なんです。

今はまだ倒壊の恐れがなくても、放置された空き家は10年後20年後には必ずその危険性が高まります。

昨日の話にも繋がりますが、これからの日本社会は働き手である現役世代がどんどん減っていきます。

増え続ける社会保険料に加え、空き家の代執行に対する税金負担もどこかで増えるのではないでしょうか?


昨日からどうも暗い話になっているのですが(笑)現状としばらくの日本社会の未来はある程度把握しておかないと、改善の打ち手なんて検討できません。


という事で、今日は「空き家の所有者に限らず、日本に住む人は皆空き家問題に関係あるんだよ」という事をお伝えしました。


なお、一緒に全国空き家アドバイザー協議会の新潟支部を立ち上げてくれる事業者を随時募集しています。

解体業、遺品整理業、各種建設業、司法書士、行政書士など、関わりのある方でチームを組みたいです。興味のある方は是非ご連絡下さいませ!


今回は触れませんでしたが、近所の女性お二人との話の中で「車に乗れないのに徒歩圏内に食料品店がなくて困っているのよ」と何度も仰っていて、これはこれでちょっと次回掘り下げてみたいと思います。お楽しみに!

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