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笹口のリノベーション~写真でルームツアー~

更新日:2023年6月20日

先週末の見学会を無事に終えました。お越し頂いた皆様、誠にありがとうございました。


行きたかったけど行けなくて、でも見たかったな~なんて方がいらっしゃるかもしれないので、今回は当日ようやく撮影できた写真を見ながら、簡単なルームツアーをやってみます。


まずは玄関。

外壁は魚沼杉の無塗装、鎧張り。

玄関ドアはスニッカルペールの可愛いガラス入りのドアを、玄関内部の壁と同じポーターズペイントで塗装しました。

少し紫の入った落ち着いたグレーが、とってもいい雰囲気になりました。


ドアの上の方を横切っている丸太、実は元々あった丸太で、明確な使用用途は分かりませんが残す事にしました。

すだれなどをかけていたんでしょうかね?


玄関ドアを開けると、左にオープンな収納棚、右にLDKへ続く障子、奥には洗面所へショートカットできる背の低い上げ下げ障子。

敢えて入口を低くしたのは、私と設計の鈴木さんの遊び心です。(笑)

玄関に入った瞬間目に入る正面なので、アイキャッチとして可愛いプロポーションになったと思います。


手前の床は天然石のタイルで、途中から斜めに炭モルタルで仕上げています。

元々そのラインから廊下に上がる段差がついていたので、今回の工事で土間のスペースを広げています。

これから必要になるベビーカーや子供用の自転車などそのまま置いておけるように広いスペースとしました。

物が少なくなれば、植物など置いて飾るのも良さそうですね。


ちなみに右側の1段上がった式台は、同じ住学メンバーで仲良く交流させて頂いているまごころ本舗の新潟支店長である平田さんより譲り受けた一枚板を磨いて再利用しています。

この場所に合う良いサイズの板を探していた所、たまたまSNSで「解体現場からこんな立派な板でましたけど使わないので、どなたかいりますか~?」という平田さんの投稿を見かけ、すぐに手を挙げました。


色といい、サイズもちょっと加工するだけでピッタリでした。本当にこの為に存在していたような、不思議な縁でこの場所に納まってくれた板です。


右の障子を開けると、畳とダイニングテーブル。

玄関から上がるとすぐに畳を踏む感じ、ちょっと旅館に来たような雰囲気も感じられていいですよね。

ちょうど今の真ん中なので、ここでもちろんごろ寝もできます。


一歩上がると、勾配天井に立派な丸太梁が目に飛び込んできます。

ここは元々天井がありましたので、今回吹き抜けにする事で元々あった梁が現れました。

これまで天井裏で密かに屋根を支えていた梁ですが、こうして眺める事ができるようになって何だか私もとっても嬉しいです。


当時の大工さんは、まさかこんな風に見えるようになるとは思ってもみないでしょうから、梁にはしっかりと墨付けしてあり文字なども書いてあります。

そんな当時の大工さんの手仕事も感じられるので、キレイに削らずに水拭きする程度にしました。



畳の左側にはソファスペース、そして畳の右側の作り付けの棚の上にテレビを設置する配置としました。


畳に上がって左を向くと、入ってすぐにオープンな収納棚。

そして見学会に合わせて家具たちの展示をして頂いた長岡のnine さんの素敵なキャビネットと一人掛けのチェア。この部分にソファを置く想定になっています。


右奥には対面式のキッチンが見えますね。

高い勾配天井と低い天井との差が立体感を生んでいて、気持ちの良い空間です。


もっと奥まで進んで、テーブル越しのキッチン。

今回はこのオークのテーブルとイスを2脚、それとお子様用の可愛らしいチェアをオーダーで制作して頂きました。木目がとっても素敵で、思わずスリスリと触ってしまします。


キッチンとダイニングの間に立っている2本の柱は元からあった柱をそのまま残しました。

何とか細工をしたら1本はなくせたかもしれませんが、あまり構造としても無理をしたくはありませんし、むしろ柱がある事で「何に使えるかなぁ?」と頭をひねって考えるのも楽しいものです。

あえて穴も埋めていないので、私だったらここに何か棒のような物を入れて植物を吊るしたりするかもしれません。

ちょっと雰囲気のあるアンティークな時計なんかを飾るのもいいですね。


新築ではあえてこんな場所に柱は立てたりしませんから、これもリノベーションの醍醐味と言えます。

無駄なものが一切ない合理的な空間も良いのですが、ある意味余計な物や必要でない物が混在する空間も、捉え方次第では豊かな空間と言えるのではないでしょうか?

少なくとも、私はそういった予定調和ではない偶発的な物は結構好きです。

鈴木さん曰く「こういった一見マイナスな事も楽しいワクワクに変えていくのが、私たち設計の腕の見せ所です」

という風に仰っていて、惚れました。


キッチンからリビングダイニングを見渡せます

昨年生まれたお子さんが数年後に畳の上で遊んでいるのが、目に浮かびます。


ダイニングテーブルの向こうに見える真四角の窓には、内側に木格子を設置しました。


晴れの日の午前中には、写真のように十字の影が。

この格子があるとないとでは、全然印象が変わりますよね。


外から見るとこんな感じ。

この木は施主のお母さんの思い入れのある柚子の木です。

この木を家の中から眺めるための窓と言っても過言ではありません。

ちょうど今の時期は花が咲いていて、ミツバチが飛び回っているのを観察できました。


この窓際のカウンターは子供が椅子に座って丁度良い高さに設計してあるので、窓の外を眺めながらお絵描きしたり遊んだりできます。


キッチン側から洗面台を眺める

廊下の壁は元の真壁をそのまま生かしました。

柱が整然としている姿がキレイで、最初に現調した時から鈴木さんと私で「この雰囲気は残したいね」と話しておりました。

しっくい壁も残し、表面だけ他と同じポーターズペイントで塗装。


洗面台は鈴木さんお得意のモールテックスのカウンター。

私も自分で施工した事が何度かありますが、今回は職人さんに依頼しました。

やっぱり上手ですね!(当然)


正面の扉の向こうはトイレ。ドアの上から中が見えちゃってますが、透明のアクリル板が入っています。

見れば誰か入っているか分かるし、トイレには窓をつけていないので洗面側からの明かり採りも兼ねています。


ドアを開けるとそこは海。

写真だと分かりづらいのですが、単色のブルーではなくスムースインパストという特殊なポーターズペイントで、仕上げ塗りの際に石灰を混ぜて塗ります。

乾くと薄っすらと白く浮き出て、良い感じのムラが出る面白い塗り方を採用しました。


最後に2階です。

手前が寝室で、奥が収納というシンプルな部屋があるだけの小さな2階。


ふたつの部屋の仕切りに、とても年季の入った建具を再利用しています。

この建具、実は施主のおばあちゃんが生まれ育った新発田の古民家からお引越ししてきたものです。

今回の計画中におばあちゃんが生まれ育った歴史ある民家が取り壊される事になり、何か再利用できるものはないかと私が伺って、この建具を引き取ってきました。


下側に戸車だけつけてもらったので、動きも快適です。

新しくこんな建具を作ろうと思っても、やっぱりわざとらしくなるんですよね。古民家風的な。

云十年、もしくは百年以上も時を経た物を再現するのは不可能です。


捨ててしまえばただのゴミですが、少し手を入れて使えるものは残して行きたいものですね。


さて、写真と文字のルームツアーでしたが、少しはこの家の雰囲気を味わって頂けたでしょうか。

毎度ながら、私自身も工事が終わり引き渡してしまうのが寂しくもあります。もちろん、竣工できた嬉しさもあります。


3世代にも渡る住まいの改修工事に携わる事が出来た素敵なご縁に、本当に感謝です。

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